鈴六では古着を原料とした工業用ウエス(リサイクルウエス)*の製造・販売を行っています。
一口に古着と言っても世の中には、TシャツやYシャツ、ニットやGパン、スーツやコート、さらには着物や浴衣など
様々な生地で出来た多種多様なデザインの衣類が流通し、鈴六にも様々な種類の古着が混ざった状態で入荷します。
入荷した古着の中には工業用のウエスに向いている古着とそうでない古着が存在しています。そのため「拭く」「磨く」「吸わせる」用途に適した工業用ウエスを作るために古着を選別し、ウエスに適した古着を集めます。
今回はどのような古着が工業用ウエスに向いているのか、そしてどのような古着が工業用ウエスに向いていないのかということをご紹介したいと思います。
※工業用ウエス(リサイクルウエス)とは古着を原料とし、機械の清掃や自動車の整備などに使用される油や汚れの拭き取り用の布のことです。
(詳しくは前回のコラム「ウエスって何?」をお読みください)
【ウエスに向いている古着・向かない古着】
工業用ウエスに向いている古着の第一条件は「綿の比率が高い生地で作られていること」です。
工業用ウエスの最も一般的な用途は油の拭きとりです。
綿の比率が低い生地で作られている古着は吸水性が低いため、油や水などの液体を拭き取るのには向いていません。
そのため、鈴六では綿の比率が35%以上の生地で作られた古着のみを原料としてウエスを製造しています。
また、綿の比率が高い生地で作られている衣類でも、横編みのニット製品や、生地と生地の間にわたが入っているものなどは
裁断面から糸がほつれてきたり、中わたが出てきてしまうので工業用ウエスには向いていません。
【選別が終わったら】
選別が終わった後は、ウエスに向いていると判断された古着をさらに使いやすくなるよう30~50㎝角ほどの大きさに裁断していきます。
この際、「拭く」「磨く」「吸わせる」作業で対象が傷つくことの無いよう、ファスナーやボタンといった付属物を切り取り、検針機にかけ、針などの危険物が混入することの無いようチェックをしていきます。
【エコなリサイクルとしてのウエス製造】
現在流通している衣類のほとんどは、混紡*や交織*などの技術を駆使し製造されています。その一方で、綿や絹などの天然繊維、ポリエステルやナイロンなどの合成繊維を一括処理し、原料別に分解処理する技術は実用化されていません。古着をただのごみとしてではなく資源として活用するためには知識を持った技術者による選別が必要不可欠です。そして、1枚1枚異なるデザインの古着をごみとして処分する部分が最小限で済むよう、工夫し裁断していく作業もまた、選別作業と同様に知識を持った技術者によって行われています。新たな資源や大量のエネルギーを使わず、人の手によって行われるリサイクルウエスの製造は環境にやさしいエコなリサイクルといえます。
※混紡(こんぼう)…二種類以上の異なる繊維を混ぜて糸を紡ぐこと。
交織(こうしょく)…二種類以上の異なる糸をまぜて織ること。